ホスピタルカフェ~リハビリテーションの部の様子~|弘前大学 地域創生本部

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ホスピタルカフェ~リハビリテーションの部の様子~

更新日 2022.05.10

2022.03.15(火)開催

座談会メンバー  弘前大学附属病院理学療法士 1名 ✖ 弘前大学保健学研究科 学生 3名
ファシリテーター:本学保健学研究科 教員

弘前大学医学部保健学研究科において、学生と本学附属病院の理学療法士が交流を行いました。座談会内容をご紹介します。

Q1. 大学病院では1日どのくらいの患者さんをみますか?

Aさん:最低で15、6人ですね。少ないなと思った日は12人ですね。多い日、昨日とかは22人でした。平均18人くらいだと思います。1単位20分なので、勤務の間は、フルで回して診ているという感じです。

Q2. 1年目と2年目では内容は違いますか?

Aさん:1年目だと、7月くらいまでは先輩の下に付いて、助言をもらいながらやります。そのあとは、同じような疾患はひとりで持って、わからないところは聞くというのが1年目のかたちです。2年目からはもう少し幅が出てくるので、自分自身で一度評価や治療をしてから、わからないところは確認をするというかたちになりました。業務内容や患者さんの量はやっぱり2年目の方が多いかなという気はします。

Q3. 1日平均の18人はいつごろから診ていますか?

Aさん:先輩が夏休みに入ったくらいからです。 1年目の夏から20人くらいの時もありました。

ファシリテーター:ものすごい仕事量ですね。そうなると残業もありますか?

Aさん:そうですね。うまい人はやりながらカルテを書いて、18時半や19時に帰れるようなかたちをとります。しかし、私は途中でカルテを書くのが嫌で、全部終わってから書くため、20時~20時半になります。

ファシリテーター:Aさんは忙しいパターンだけど、急性期でたくさん診なきゃいけないと、カルテを書く量が単純に人数で多くなっていくからね。脳卒中センターとかで1日5人診ている人が、カルテを5人分しか書かなくていいっていうのとの違いです。

Q4. 具体的には1年目の何が大変でしたか?

Aさん:最初のうちはTKA(人工膝関節置換手術)とかTHA(人工股関節置換術)の方ばっかり来るので、同じような考え方とか、やり方で通用するのですが、人が多くなってきた時にどこを今日やって、どこを切り捨てて介入していくか、みたいな優先順位の付け方が、1年目は人の多さと情報量の多さで処理するのが一番難しかったかなという気がします。

Q5. 業務のために業務時間外に何かしていたことはありますか?

Aさん:可動域練習など、自分でやってみて、先輩に評価してもらうことを夜にやったり、朝30分の勉強会の時間に松葉杖を実演して、どこがおかしいかを色々な先生から意見をもらったり、車いすの移乗とか、業務にかかわる重要なところを見てもらってフィードバックをもらっていました。

Q6. 大学病院は忙しそうな印象がありますが、最初の就職先として大学病院を選んだ理由をお聞きしたいです。

Aさん:バスケットボールチームの青森ワッツの提携病院が附属病院ということで、自分もバスケットをやっていたし、ゆくゆくはプロのスポーツチームにも関わることができて、普通の業務もやる理学療法士を目指したいと思って、近道なのかなという気がして附属病院に入りました。あとは、自分自身のケガの治療で、知っている先生も多かったということも附属病院に決めた理由の一つです。

ファシリテーター:スポーツ整形をやりたいとなると、中高生だけでなくプロのスポーツ選手まで見据えて大学病院が良かったということですかね。もっとプロが来る都会の病院は考えなかったですか?

Aさん:都会の病院も考えたんですけど、勉強するうえで、一人で根詰まって都会で潰れるよりは、地元にいて、親の援助を貰いながら自分の好きなことをやって伸びていく方が自分には合っているかなって気がして、ここに止まることにしました。

Q7. 就職について、大学病院の試験はいつですか?また別の病院も受けていましたか?

Aさん:試験については申込をすると日程調整をして、空いている時間にするみたいな感じでしたね。地元じゃない病院も受けていましたが、やっぱり地元にしようと思い、研究最中の10月に大学病院で仕事をすることに決めました。

Q8. 就職する前とした後の募集要項とのギャップはありますか?

Aさん:募集要項に関しては読まないで受けたので、そこのギャップはなかったです。患者さんが思ったより多く来るなと思ったのと、プロスポーツ選手がバスケじゃなくて、サッカー選手が多く来るなぁと思いました。それ以外は、性格もあると思いますが、あまりギャップを感じることはなかったです。

ファシリテーター:大学病院の前情報?ってあるじゃないですか。それと比べてどうですか?

Aさん:そのまんまかなって。自分が思っていた忙しさよりは忙しくないかなとは思います。

Q9. 実際に仕事をし始めてから、理学療法の見方は変わりましたか?

Aさん:そうですね。実習の時や学生の時は、症例がきたら、そこを治して終わりみたいな。退院したらそれで終わりみたいに思っていました。働いてからは、その人が退院した後、どこまで回復するか、自分が思っていたゴールと、その人が思っていたゴールが離れすぎていたことがあって、理学療法っていうのは、ずっと付き合っていって、ゴールが一緒になるまでを支える感じかなって気がします。

Q10. 臨床実習とギャップはありますか?

Aさん:実習でも臨床に近いかたちではやってはいましたが、患者さんについて、学生だったら、準備時間があるのが普通ですけど、臨床で入ると、当日に患者さんを渡されて、そこから情報を入れて、評価や、やらなければいけないことを20分でするっていうのが大きいギャップでした。慣れて、やるまでがすごく時間がかかりました。学生の実習レポートみたいな内容を1日半くらいで全部やらないといけないのが一番大変ですね。

ファシリテーター:疾患以外の部分をしっかり考えることができるようになってくるかどうかが大きいような気がしますよね。それは慣れですか?

Aさん:自分の場合はパターンじゃないですけど、コレがきたから、コレやるかみたいなのを作るのが嫌です。患者さんは7月くらいまで担当しないので、その間に来た症例の疾患名の機序やレントゲンの見方を勉強して、次の時に活かすということを繰り返してやっていました。

Q11. 私も急性期の病院の就職を考えているのですが、附属病院で実習をしていた時に転院していく患者さんが多く、退院できる状態に持っていくことがゴールになっていて、その先を診られないのを残念に感じました。今まで回復期の方まで診てみたいとか思ったことはありませんか?

Aさん:転院しても診察は大学病院に来るので、自分は時間が空いたら、整形とかの待合室まで行って、患者さんを見つけて話を聞くということを忙しいやっていました。それで話を聞いて、足りないところがあったら、主治医の先生に中でもリハビリに入っていいかの相談を自分で交渉をして、退院してからのフォローも少しやらせてもらったりするので、回復まで診たいとかいうのはないですね。
あと、最初に患者さんを診るときに、転院するのか、しないのかの判断がつくようになるので、その時点で、どこまでやってあげられるのかを決めてかかれるので最後まで診ようかなという気持ちはそこまでないです。

Q12. 国試の勉強をし始めたのはいつくらいからですか?

Aさん:9月、10月に手を付け始めて、やばいなぁと思ったのは1月です。国試の勉強で思ったのは、教科書の寄せ集めみたいな問題ばっかりなので、決まった形で出ているなという気がしました。働いてからは、論文を読んで参考にするんですけど、国試は国試、働いてからは、働いてからだなってみたいな感じはします。

Q13. 患者さんをいっぱい診て得られるものってどういうものがありますか?

Aさん:似通っている部分と、確実にちがうなってところがはっきりするかなって思います。同じ場所の痛みでも、筋力が弱いから痛いのか、構造がボロボロでダメだとか、1つの事例で何個のパターンを知れるのがいっぱい人を診て気づくことかなぁって気がしますね。

ファシリテーター:介入に関してはどうでしょうか?

Aさん:介入は、その都度その都度、話を聞いて、方法を変えています。一本の筋は通して、介入の方法だけを変えていくという方法をするので、10人いれば7、8人違うことをしているような気がします。

ファシリテーター:評価自体は、疾患の特性を把握したり、疾患の症状のバリエーションを知ったりするためにも人数を多く診る方がいい。でも介入自体で考えると、ここが痛いから、このトレーニング、体力が弱いからこの筋トレっていうのは、実は、噛み合わないことがあるじゃないですか。そう考えると、一人をじっくり診た方が、その人に一番合った介入方法を探すにはすごく合っているので、一人をじっくり診た方がいいというところですかね。一方で、少ない人しか診られないような職場に行くと、特殊な人が来た時に「ん?」って思うかもしれない。ただ、多くの人を診ている職場に行くとその人に本当に合った介入ってできているの?ってことを常に考えなきゃいけないね。

皆さんどちらが得意・不得意ってあるかもしれないけど、どちらにもメリット・デメリットがあるから考えなきゃいけないね。

 

Q14. 自由に使えるお金って大学生の感覚よりは多いですか?

Aさん:実家生な上、奨学金の返済がないからかもしれないですけど、大学生の時使っていたより4、5倍多いかもしれないです。車も新車で買いました。

ファシリテーター:お金の話は大事ですからね。

リハ部門の給与は多くないけれども、大学の時よりは使えるお金が増えるかな。夜勤しないし、日当直がないことを考えれば、いい給料です。(笑)

 

Q15. チーム医療について、作業療法士とはどのくらい接点がありますか?

ファシリテーター:そこはまず前提として、神経の疾患とか脳の疾患とか、疾患の影響が大きいですよね。例えば骨折や手術など、下肢の疾患であれば、作業療法士はQOL評価をするかもしれないけど、基本的には関わらないのが、大学病院のかたちですよね。医療って言われると、そこはなんか違うよね。理学療法士は理学療法をやるし、作業療法士は作業療法をやるし、言語聴覚士は言語聴覚をやるから。そうやっていったときに、勝手に理学療法士と作業療法士が色々やると上手くいかないから、同時に回るようにそこの調整をちょっとしているだけだね。回復期の病院だと、みんなが集まって話し合う機会は急性期の病院に比べて多いとは思う。

Aさん:手外科・整形・難病・神経内科の人の場合は介護保険、住宅の改修の時は、(手をどのくらい使えるか確認したりする必要が出てくるので)状態を確認しないといけないことが結構あります。

Q16. 大学病院は土日が休みで、他の病院は土日出勤して平日休みの場合もあると思うのですが、働いてみてどっちがいいと思いましたか?

Aさん:平日休めるのは羨ましいですけど、その人の性格によりますかね。連勤していた方が、ずっと頭回転し続けて働きやすいって人と、忙しいから、ちょっと間に休みを挟みたい人と、それぞれのような気がします。学校生活が苦しかったら、平日休みの方がいいと思います (笑) 。シフト制だと、申し送りで、先輩にお願いしますというのがやりづらいので、どうせだったら、自分でずっと診ていたい感じはします。

 

Q17. 土日に勤務することはありますか?

Aさん:患者さんを診ることはないです。でもゴールデンウィークと年末年始は必要に応じて出勤もあります。

 

Q18. 私は最初に脳卒中センターとかの回復期に行きたいなと思っています。
実習中に回復期から急性期に降りた作業療法士の人がいたのですが、急性期を経験してから回復期に行った方がいいのか、回復期から急性期に行った方がいいのか、どちらが良いとかありますか?

Aさん:個人的な考えだと回復期から急性期に行くと、すぐ戻りたくなる気がします。1人の患者さんを1時間やっていたものを、急性期に行って20分にまとめやるってなると、捉えていたものが、捉えにくくなったりするかなと。実習中にやっていたことを社会に出てから短くやってみて!みたいな感じになるので、それを考えると急性期行ってから回復期の方が幅を広くするだけなので、やりやすい感じはします。

ファシリテーター:全然違うからね。リハだけで考えると、急性期は送り出す、回復期は受け取る側っていう大きな違いがあるから、そこの感覚の違いはお互いに持っておいた方がいいですね。僕が前働いていたところだと、回復期から急性期に入ってきた経験者の方は、めちゃくちゃ優しい申し送りを書く。回復期のことを思って書いてくれていました(笑)。そういうところから来た回復期の人も、忙しい、忙しいと言いながらも急性期の体になっていきます (笑) 。

 

Q19. 学生のうちにやっておいた方がいいということはありますか?

Aさん:教科書だけを読むよりは、1個のことに対して何個違うことを考えられるか、すぐ正解を出すよりも、回り道をしてもいいので、色々なことを考えられるような勉強の仕方をしていって欲しいなと思います。それができれば1年目は何とかなるのかなって思います。それ以外だと、上の人との付き合い方とか初対面の人との接し方とかですかね。学会とか始まると、知らない人に話しかけないといけないので難しいなぁって思います。あとは、カルテに病名を英語で書くので、英語はやっておいた方がいいです。英会話じゃなくて。

 

Q20. 働くようになってから、長期の休みはどのくらいですか?

Aさん:夏休みの6日間と、取らなきゃいけない休みも5日あるので、それをくっつけると最大2週間分くらいです。

ファシリテーター:大学生の2か月という長期休暇の間に学生はどのようなことをしたらいいと思いますか?。

Aさん:旅行に行った方がいいですね。話のタネになるようなことを探しておけばいいと思います。

 

Q21. A先生の1日の流れを教えてください。

Aさん:6時に起きて、7時までに準備をします。病院に着くのが7時半くらいです。7時半に着いたら業務開始が8時半なので、それまでに前日の患者さんの情報と、今日の患者さんの予定までを30分くらいで決めます。8時からはドクターの先生とのカンファレンスがあって、8時間から業務スタートです。お昼休憩は12時から13時と決まっているのですが、患者さん次第では短くなったりするかたちですね。それで、書類上、17時には終わることにはなっているのですが、大学病院はロボットスーツみたいなものやっていて、担当している患者さんが必ず16時半以降に来るので、その日は17時半に終わるのは確定しています。あと、月・木はスポーツ外来の対応があります。診察終わりにリハビリするので、その日は19時までは業務です。平均で18時くらいかな。そのくらいまで業務してそれからカルテ書をきます。

自分は21時くらいに帰りますけど、みんなは19時半くらいに帰ります。研究がある人が20時、21時くらいですかね。遅くまで残業をしているのは自分だけで、早く帰りなさいって言われます (笑)。夜は12時までに寝るようにしています。

 


座談会にご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!


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