弘前大学地域創生本部では、弘前大学と包括連携協定を締結している自治体・金融機関・経済団体等が連携し、地方創生を推進することを目的として、「地方創生ネットワーク会議」を開催しています。
今年度は「2050年の青森県をデザインする」を年間テーマとし、「こども基本法の施行で社会・自治体・企業はどう変わるのか」と題した第3回目の会議を、令和5年2月1日(水)、オンラインで開催しました。
最初の基調講演では、内閣官房こども家庭庁設立準備室の山口正行内閣参事官から、「こども家庭庁設立とこども基本法について」と題し、こども家庭庁の組織・事務・権限や、こども基本法の概要等についてご講演をいただきました。特に、今後のこども政策の6つの基本理念の一番目に挙げられているのが「こどもの視点、子育て当事者の視点に立った政策立案」であり、こども家庭庁としても重視して取り組んでいくとの説明がありました。
二人目の基調講演では、宮城県石巻市子どもセンターらいつ副館長・NPO法人子どもにやさしいまちづくり代表理事の吉川恭平氏から、「子どもとともに創る児童館と地域」と題し、こどもの声を聞き、反映させる実践活動についてご講演いただきました。児童館である「らいつ」は、基本理念を「子どもの権利を柱に、子ども参加で」と定め、こどもが安心して声を上げることができる環境づくり、こどもの声を受け止めることができる人づくり、地域でこどもを見守る環境づくりに取り組んでおり、また、地域づくりの活動では、こどもを「未来を担う存在」としてだけでなく「いまを生きる子ども」と位置づけて、共に取り組んでいることが紹介されました。
続くパネルディスカッションでは、本学教育学部 宮﨑充治教授がモデレーターを務め、教育学部 深作拓郎講師から、本県におけるこどもと子育ての状況について話題提供があり、また、青森県教育委員・任意団体HappyChildren共同代表新藤幸子氏から、時間・空間・仲間の欠如や様々な経験不足になっているこども達の現状等についてお話があった後、吉川氏も加わり、「こどもまんなか社会」の実現に向けて私たちが取り組むことや、こどもの意見を聞き反映させるために必要なこと等について議論がなされました。
こどもの声を聞くためには工夫が必要なこと、こどもが自ら考え決定し行動し失敗する自由を与えてほしいこと、大人とこどものパートナーシップが重要であること、などの意見が出されたほか、参加者からの質問に答えて、こどもと関わる既存の場への参加から取組を始めるのが良いことや、シビック・プライドを醸成するためには、地域の自然・文化・歴史等をこどもが能動的に知ろうとすることと、その過程で様々な大人と関わることが重要である、との意見が出され、活発な意見交換がありました。
地域創生本部では、今回の議論を広く地域へ還元し、地域との連携等に活かしていきたいと考えています。
内閣官房こども家庭庁設立準備室 内閣参事官 山口 正行氏
パネルディスカッションの様子
(左上:宮﨑 充治 教授/右上:吉川 恭平氏/左下:新藤 幸子氏/左下:深作 拓郎 講師)