渋谷のIT企業に勤務、職場は青森の自宅?
「リモートワーク」という新しい選択肢
リモートワーカー 福井烈さん
インターネットが社会に浸透し、スマートフォンを中心に日々の生活にも欠かすことのできなくなった現代。最新のIT技術を駆使し、新しい製品・サービスが生まれることでビジネスの多様化も進み、ノートパソコンひとつで場所を選ばず仕事をする「ノマドワーカー」という個人事業主も増えつつある。そのような中、企業に雇用されている会社員が在宅などの形で業務を行う「リモートワーク」(テレワークとも)という働き方が注目を集めている。総務省では2020年までに導入企業数を2012年度の3倍に増やす目標を発表するなど、大手企業を中心に導入社数が増加。ここ青森県でも東京の企業に勤めながら在宅勤務を実施する人がいた。果たしてリモートワークはどのような働き方で、どのようなメリット・デメリットがあるのか。
Uターンの働き方として選択
東京でデジタルコンテンツの企画、制作、配信などを行う株式会社ピースオブケイクに勤める福井烈さんは、プログラマーとして2015年に入社。東京以外に支社はないが、青森からリモートワークで働いている。勤務時間は東京の正社員と同様、平日10時から19時まで。自宅のパソコンの前に座り、Webカメラに自分の姿を映し、本社とリアルタイムで中継しながら業務を行う。朝には前日までの進捗報告や当日の活動予定など朝礼を欠かさず、打ち合わせもあり、給与も東京の正社員と同条件で、賞与も有給も支給される。勤務地が青森であること以外は東京の社員と変わらず、地元で東京水準の暮らしを実現している。
「それまで東京の企業に勤めていたが、家庭の事情で地元に帰ることになり、仕事を探しているうちにリモートワークと出会った」と福井さん。青森で同種の仕事を探していたが、なかなか条件の合う企業が見つからなかった。知人に相談したところ、日本どころか海外でもリモートワークを企業が採用している事例があることを教えてもらったことが、新しい選択肢として考えるようになったという。
「初めてのリモートワークで不安もあったが、入社後3カ月間はオフィスで勤務をさせてもらい、他の同期や上司とも顔を合わせた上でUターンしたためコミュニケーション上の問題はなかった。仕事もこれまでの経験から上手く適応できている」と話す。「通勤がないため、満員電車から脱出できたのは嬉しい。唯一欠点があるとすれば、東京開催で興味のある勉強会やイベントに出席できないことだが、今でも各月に一度は東京のオフィスに顔を出しており、その機会を有効活用している」という。「在宅ワークのため、地元の農家さんから『仕事はされているの?』と心配されることもある」と苦笑いする福井さん。青森ではまだ馴染みの薄いリモートワークだが、東京の経験値を地元に還元する新しい働き方として今後も注目されそうだ。
福井烈さんからのメッセージ
- 好きな言葉は「一期一会」。「これまでの出会いに無駄なものは一つもなかった。失敗を恐れず、いろいろなことにチャレンジしてほしい」
福井烈
- 青森県弘前市出身
- 勤務先:株式会社ピースオブケイク