【製造】1日1万4千食を手作業で挟む製造現場に潜入|弘前大学 地域創生本部

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【製造】1日1万4千食を手作業で挟む製造現場に潜入

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青森のソウルフード・イギリストースト
本社工場で見た秘密と51年目の挑戦

工藤パン
工藤パン

株式会社工藤パン

工藤パン

1日1万4千個も生産され、年間の出荷数は500万個。一部他県でも取り扱いはあるが、青森県内だけでほぼ消費される、まさにソウルフード「イギリストースト」。過去に発売したシリーズは100種近く、昨年50周年を迎えた。日進月歩の菓子パン業界で、50年もの間、消費され続けていることはかなり珍しいことだという。

工藤パンの営業部・平井一史さんによると、イギリストーストは当初、工藤パンで開発された一つの商品に過ぎなかったと明かす。その後のロングセラーは誰もが予想していなかった。なぜ青森県民にここまで愛され、工藤パンを代表する菓子パンになったのか? その理由を「長年築きあげてきたブランドが持つ安心感なのかもしれない」と平井さんは話す。

工藤パンの創業は1932(昭和7)年。むつ市の小さなパン工場として始まり、戦後の食糧不足の中、子どもたちの栄養不足を解消させたいという思いから創業者・工藤半右衛門はパンの普及に尽力した。イギリストーストもまた、子どもたちに高いカロリーを摂取してもらおうと開発されたものだったという。話題となるその商品名は工藤社長本人の発案で「語呂がよかったため」と即決だったという。当時は1枚の食パンにマーガリンとグラニュー糖を載せただけの菓子パンだったが、1980年代に2枚をサンドするスタイルになり、以来、製法は変えず、昔ながらの作り方にこだわっている。

イギリストーストの今後

イギリストーストは度々、在京テレビ局やインターネットなどの媒体で紹介され、全国的に知名度を広げつつある。全国から問い合わせがあると平井さんは話す一方で、県外での販売には消極的だ。その最大の理由は鮮度にある。「イギリストーストは本社工場という場所でしか作ることができない条件が実はあり、その上、出来たてのような柔らかい食感やマーガリンの酸化を考えた場合、消費者には新鮮なうちに食べてほしい」と話す。しかし、「今後は北海道や関東圏においても販売することができれば」と意欲を見せる。

青森県内だけでは市場規模が小さくなっていくという危機感が背景にある。その皮切りに工藤パンのブランドですでに九州まで販路を広げている菓子パンがある。「スタンダードなイギリストーストは今後も提供し続けるが、市場のニーズに対応するためには新しい挑戦が必要。そのための新商品の開発であり、販路拡大である」と意気込む。ソウルフードという過信はそこにはなく、青森から全国を見据えている姿勢がうかがえる。

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