垣内 雅仁(教育学部生涯教育課程地域生活専攻・弘前大学ボランティアセンター学生事務局代表)
1.野田村でのボランティア活動
———まず、ボランティアセンターに入った動機を教えてください。
垣内:もともと、大学に入ったらボランティア活動をしたいと考えていました。入学して間もなくボランティアセンターの存在を知り、1年生の6月に初めて野田村での活動に参加しました。その後も月一回の活動に欠かさず参加し、もっと深くかかわりたいと思い、ボランティアセンター内の学生組織「学生事務局」に入りました。
———ボランティア活動では、どんなことを行っているのですか?
垣内:岩手県の野田村というところで活動しています。昨年度までは一か月に1度、今年度は三ヵ月に1度のペースで訪れています。
事前に野田村の方達と交流できるような活動内容を考えていき、実際に現地で行います。今は朝市に参加しています。テントを借りて、コミュニティカフェをやっています。お菓子と飲み物がを用意してあって、村民の方には無料で提供しています。村民の方と大学生の交流の場としてだけではなく、村民の方同士の交流もうまれています。また、カフェにはコミュニティパークという名の子供が遊べる場を併設しており、大学生が遊び相手になっています。
———野田村には弘前からバスで通っているとのことでしたが、片道3時間はかかるそうですね。今は組織のリーダーとして、色々と大変なこともあると思うのですが、活動を続ける原動力になっているものは何でしょうか。
垣内:一番は、村民の方々の温かさです。
ボランティアセンターは震災直後すぐに立ち上げられて、最初は瓦礫の撤去などをしていました。野田村と弘前の関係は深い。いつも温かく出迎えてくれて、また行きたいなと思わせてくれます。初めて野田村を訪れた時からその温かさを感じられたっていうのはすごく大きいですね。
2.リーダーらしくないリーダーに
———垣内さんはボランティアセンター学生事務局の代表として、どのようなことを意識し、役割を果たそうとしていますか。
垣内:僕は、リーダーらしくないリーダーになれるように努力しているつもりです。さらに言えば、リーダーは少しなめられるくらいが良いというのが僕の持論です。
具体的に言うと、友達同士のような関係をイメージしています。ボランティアセンターでは3年生が中心となって活動していますが、1年生や2年生とも友達みたいにお互いに何でも言い合える関係を作りたいですね。リーダーでも相談されやすい先輩を目指しています。
あとは、ボランティアセンターのメンバーが活動に参加しやすく、動きやすくするにはどのような工夫が必要かっていうのは常に考えています。例えば、ボランティアセンターに入ってまだ日数が経っていないメンバーとの飲み会では、最初からボランティアについて語り合うのではなく、まずは出身地とか趣味の話をするようにしています。そこから信頼関係を築いていって、何でも話し合える関係を作っていきたいなと。「ボランティアはとっつきにくい」「何からやれば良いか分からない」と思っている新入生も多いと思うので、ボランティアとは何かを語る前に、一人の人間として接して信頼関係を築くことを大事にしています。
———なるほど。立場に捉われず何でも話し合えるような関係をつくるために、リーダーらしくないリーダーになることが重要なのですね。
垣内:何でも話し合える関係であれば、例えば普段のミーティングにおいても、よりメンバーの意見の引き出すことができます。
あとは、飲み会などで話をする中で、それぞれのメンバーがどんな性格で何が得意か苦手かを把握するようにしています。何か企画を実行するときは、そういった部分をふまえた上で仕事をふっています。仕事は任せた上で、メンバーからの相談は何でも引き受ける。こういった姿勢を示すことで、各々の人柄やスキルを最大限に生かして活動していくことを心がけています。リーダーとしてやるべき仕事は影でしっかりと行い、メンバーが活動しやすい土台をつくるようにしています。
(聞き手:弘前大学人文学部現代社会課程3年 大津さやか・澤田悠祐)