創造を目指す意欲とはなにか 【2】|弘前大学 地域創生本部

地域特性を活かした施策
地域活性化施策の企画・立案

創造を目指す意欲とはなにか 【2】

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NPO法人ぷらっと下北 島康子代表に聞く

島康子

島 康子

NPO法人ぷらっと下北 代表

専 門 地域活性化に関わるコンサルティング
イベント企画・運営
その他現職 Yプロジェクト株式会社 代表取締役
内閣府地域活性化伝道師
あおもり観光デザイン会議メンバーなど

創造を目指す意欲【ルーブリックより】

  • 既存の枠組みにとらわれず、多種多様なアイデアを出すことができる

3.道無き道を歩み続ける経営力 —おもしろくって、町のためになって、稼げる—

———おもしろがる心の他に、創造的な活動を進めるうえで重要なポイントはありますか?

島:何か新しいことを形にするためには、アイデアを結晶化させるための経営力が必要になってきます。私の場合、そのノウハウはリクルートで働いた経験で身についたように思います。

 社風なのか、リクルートでは、社員は白紙のところから何か新しい企画を立ち上げるように求められることが多々ありました。誰かに目標を与えられたり、その目標を達成するための仕事の内容を指定されるのは、ちょっとつまらない反面、楽でもあります。他方で、すべて白紙の状態から自分で目標を定めて、その達成に向けて行うべきことを考え、周りの人間を巻き込んでいくのは、本当に大変ですが、大きなやりがいもあります。試行錯誤の毎日でしたが、自分自身で方向を定めて、道無き道を泥まみれになって切り開いていく経験を積むことができたのは大きな財産になっています。

 道無き道を進んで行くためには、アイデアを事業にして収益を上げていくことも大事です。どんなに優れたアイデアも、収益を挙げることができなければ、一次的なイベントで終わってしまいます。それでは結局、町おこしは続きません。

島康子

 2013年に、まちおこしゲリラ活動をビジネスにするために立ち上げたYプロジェクトでは「おもしろくって、町のためになって、そして稼げる」という理念を掲げています。もちろん「ボロ儲け」をする必要はないんですが、食っていけるだけの稼ぎをあげていくのはとても大事なことです。Yプロジェクトでは「マグロ一筋テーシャッツ」を、大間限定で販売しています。ふるさとを威張りたい町の人たちが買ってくれるのと、何か目立つことをしたいというおもしろがり屋に人気で、もう10年以上も、しぶとく売れてます。2015年には、地域限定の旅行業も始めました。訪れた人も、迎える町の人も、腹から笑って元気になれる旅づくりにチャレンジしています。

4.不確実性を歓迎する ―泥にまみれる―

———「創造」というと「独特のセンスで新しいアイデアを打ち出す」ような、華やかなイメージがありますが、島さんのお話は少し違うようです。「何かに夢中になって、泥まみれになって色々やっていった結果、気がつくと何か新しいものを生んじゃった」という感じの印象を受けます。

島康子

島:先程も言いましたが、私のイメージでは、創造的な仕事は道無き道を泥まみれになって歩いて行く、それも笑いながら歩いて行くような試みです。華麗なイメージは全くないですね。かっこばかり気にしてると、何もつかめないし、むしろかっこ悪い!

———島さんの言葉の背後には「何をしたら良いのかよくわからない」という不確実な状況を歓迎する心構えがあるような気がします。よくわからない事態になった時に、それを「不測の事態」と捉えるのか、「変化の出現」と捉えるのかで、その後のアクションは大きく変わってきます。島さんは基本的に「変化の出現」を喜び、その変化に飛び込んでいく。その中で泥にまみれながら、変化を新しいアイデアや事業へとつなげている。この姿勢は、私自身も見習わないといけないなと痛感しています。

(文中敬称略)
(聞き手・編集:COC推進室 西村君平)

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