創造を目指す意欲とはなにか 【1】|弘前大学 地域創生本部

地域特性を活かした施策
地域活性化施策の企画・立案

創造を目指す意欲とはなにか 【1】

NPO法人ぷらっと下北 島康子代表に聞く

島康子

島 康子

NPO法人ぷらっと下北 代表

専 門 地域活性化に関わるコンサルティング
イベント企画・運営
その他現職 Yプロジェクト株式会社 代表取締役
内閣府地域活性化伝道師
あおもり観光デザイン会議メンバーなど

創造を目指す意欲【ルーブリックより】

  • 既存の枠組みにとらわれず、多種多様なアイデアを出すことができる

———「創造を目指す意欲を持とう」と言われても、それが一体どういう意欲なのか、その意欲を持つためにどのような知識や技能、経験が必要なのか、なかなか具体的なイメージを持ちづらいように思います。

 そこで本日、青森でご活躍の地域人財の中でも、ばつぐんの「創造を目指す意欲」を持つ島康子さんに、ご自身の活動をお聞かせいただき、その話をヒントに「創造を目指す意欲」を具体化していきたいと思います。

 最初に簡単に島さんのご経歴を紹介いたします。島さんは、下北半島最北端、大間町のご出身です。青森高校、慶応大学に進学の後、リクルートにお勤めになられました。1998年に故郷である大間にUターン。2000年に町おこしゲリラ集団「あおぞら組」を立ち上げ、これ以降、「おもしろがる心ですすめる町おこし」に取り組まれています。2010年にあおぞら組の活動をベースに、下北半島の元気づくりNPO「ぷらっと下北」、2013年に大間の特産物を活かした商品の開発・販売を手掛ける「Yプロジェクト株式会社」をスタートさせるなど、大間および下北地域の町おこしを牽引する存在としてご活躍です。

 島さんの町おこしのキーコンセプトである「おもしろがる心ですすめる町おこし」は、「創造を目指す意欲」とは一体何なのかを考えるとても良いヒントになると思います。

1.まず自分が楽しむ —おもしろがる心ですすめる町おこしとは— 

———「おもしろがる心ですすめる町おこし」がスタートした経緯について、教えてもらえますか。

島康子

島:1998年、東京・仙台の生活を経て大間に帰ってきた私には、大都会とは一味も二味も違った大間という町がとてもおもしろく見えました。ほとんど旅行者のような感覚で大間での暮らしを楽しんでいたんですが、だんだんと、段々と大間の魅力を皆に伝えたい、みんなを巻き込んで大間をもっとおもしろがりたいという気持ちが湧いてきました。この気持がある日爆発して、町おこしゲリラあおぞら組が生まれることになりました。

 「おもしろい!」と感じるものに出会うと、どこまでもその面白さを追求したくなりませんか?私は、たとえば大間に面白いキャラクターの人がいたら、その人を素材にしたポスターをつくって、そのおもしろさをもっと楽しみたいし、皆と共有したくなります。おもしろいという気持ちには自分を動かす新しい挑戦へと突き動かすパワーがあります。

 おもしろがる心の対極にあるのは、「やらされ感覚」かもしれません。誰かに命じられて、いわば業務として町を盛り立てようとすると、自分に与えられた業務の範囲内の仕事をこなしていくだけに終止してしまいます。しかし、おもしろがる心があれば、自分の仕事とか業務とか役割分担を超えて、どこまでも町をつきすすんで行きたくなってしまいます。

 町おこしの活動を始めてからは、日本の至るところで行われている様々な町おこしの取り組みに興味をもって、勉強しています。最近だと梅原真さんの『ニッポンの風景をつくりなおせ―一次産業×デザイン=風景』が読んでておもしろかったです。

2.創造を共有する —おもしろがる心の「伝染」—

島康子

島:おもしろいという気持ちの持つパワーは、自分自身を動かすだけに留まりません。そのパワーは周りの人々をも巻き込んでいきます。一人の人間が何かを楽しんでいたら、周りの人間は自分もそれに加わりたいと感じるものです。このおもしろがる心の「伝染」を、私たちの町おこしでは非常に重視しています。

 おもしろがる心ですすめる町おこしは、町づくりとは違うのかもしれません。町づくりというと、何人かの人間が目標を立てて、その目標達成のために町を変えていくようなイメージが浮かびます。これに対して、私たちは町民一人ひとりが大間という町での暮らし、仕事、住人の個性などをおもしろがって誇らしく思う中で、自然に大間という町が盛り上がっていく。そのような町「興」しを進めていきたいと思っています。

 例えば、あおぞら組の取り組みとして、最初に行ったのは「旗振りウェルカム活動」です。函館と大間を結ぶフェリーを、大漁旗を振りながら大歓迎するという活動です。やってみると結構楽しくて、今では旗振りウェルカム活動の仲間も結構増えてきました。仲間や共感してくれる人が増えてくると、ますます大間での町おこし活動がおもしろくなってきます。「またこんな馬鹿なことして!」と笑顔を浮かべてリアクションしてくれる町の人の顔を見ると、また次の新しいことに挑戦したくなってきます。

地域教育プロジェクト

 また、今年の夏(2015年9月)には、弘前大学の学生を大間に招いて「地域交流人口増加プロジェクト」を実施しました。このプロジェクトは函館に押し寄せてくる台湾人観光客を大間まで呼びこむにはどうすれば良いかを学生と大間の人々がともに考えようというものです。

 プロジェクトの最大の狙いは、学生におもしろがる心を体感してもらうことです。おもしろがる心に目覚めてしまえば、その心が学生を様々な地域で学びへと駆り立てるからです。幸い、学生は大間での活動をとてもおもしろがっているように見えましたし、プロジェクト終了後、青森を舞台に様々な活動に取り組んでいるようです。

次ページへ続く)

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